ラベル 短歌 tanka の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示
ラベル 短歌 tanka の投稿を表示しています。 すべての投稿を表示

2011年9月25日日曜日

短歌 文月・葉月

短歌 文月・葉月

日焼け止め塗り残しある右肩を眺めし君が太陽の夏
うっすらと汗をかいて寝し君の隣で歌を編んでは、ほどき
日の光一番強くなる時間あなたがぐっすり寝ている時間
アメリカの太陽が今東京にあなたの朝を照らしに行くよ
アメリカも同じに聞こえる蝉時雨何もかもが変わっているのに
初夏の午後風に膨らむカーテンの帆舟に乗ってあなたの街へ
風鈴はまだ少しだけ早いから笹の短冊揺らす七夕
湯浴みして素肌に星砂散りばめて逢えると信じ乗る夜の雲

2011年9月24日土曜日

短歌 皐月・水無月

春の陽にほどけてしまいそうなほどゆるく結びし逢瀬の契
桜色思い出している宵に袖を撫でゆく優しい夜風
三日月につぶやくように訊ねたい少し甘えてみてもいいかと

蛙鳴く雨の小道を帰るとき君の屋根打つ雨音おもう
スカートにはペチコートが要る悲しさのような午後にあなたを求めり
凛と咲く太陽色のクンシランあなたを呼ぶ歌奏でるラッパ

小雨降る小道に揺れるパンジーが揺れる強さで触れるあなた
人形の髪型真似る六月に緑を濃くする雨が止まない
「さよなら」としまったTシャツ皺だらけ笑顔のプリント泣き顔になる

予定なく週末ひとり飲むワイン赤でも白でもないロゼにする
梅雨時のゴルフ場のような部屋何をしても曲がって飛んでく
今朝開けた形のままのカーテンを乱すため窓開け放つ十四時

2011年9月23日金曜日

短歌 弥生・卯月

短歌 弥生・卯月

今朝開く弥生の空にハクモクレン手袋はずした指先に似て
満開になった途端に雨が降る囁くように咲くハナミズキ
春一番ミモザ色した一筆で私の心染めてゆく春
聞き返す言葉はどれも優しくて歩みを止める春の一日


花の名を確かめながら歩く道今日という日を押し花にする
ゆったりとこちら見下ろす三日月が「そのままでいい」と優しい夕べ
きらきらと水面に咲く花見つけたくペダル漕ぎ出す日曜の午後
名も知らぬ黄色い花を見つけては思い出してる昨日の日差し



水面から溢れる光求めてはその手を伸ばすソメイヨシノ
何らかの力持つらし桜色君に触れたい並木の途中
停留所ふと見上げれば月覗くさくらさくらと歌うように
春の日を描くため並ぶクレパスのごとく鮮やかアスパラの束

2011年9月22日木曜日

短歌 睦月・如月

短歌 睦月・如月

気まぐれな子猫のように右左風が吹く日々三寒四温

久々に漕ぎ出す自転車降りるときこちらを見上げるクロッカスの芽

小寒の小川で遊ぶ白鷺の歩みを追って悴む指先

早足で認める今朝の蕾たち確かに伸びて膨らむ命

草花に特別な色纏わせる如月の夜の静かな霧雨

卵剥く指先止めるノクターンしんしんと降る如月の音

ガラス戸を磨いて迎える二人きりの朝は結露の匂いがしており

2011年9月21日水曜日

むかしの短歌から その一

むかしの短歌から その一


 縺れてる毛糸を解く指先に気持ちが絡まる「君は恋人」

 キウィの栄養の話なんかして久々に逢うふたりは不器用

 「疲れてる」?古風な仕方で触れたがる肩から首筋耳まで六秒

 広がった茶葉のような私たち遅めの昼寝あなたの利き手

 栞のあと残す優しい冗談と寝癖の襟足あなたといる昼

(Internet Explorerのみ、縦書表示です)